【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
33.「……王子様って、大変ですのね」
「お嬢様」
それから、一体何時間経っただろうか。リリーがドロシーのことを呼びに来た頃には、空はオレンジ色に染まり始めていた。それに気が付き、ドロシーは顔を上げ、満足げに頷く。
「あら、リリー。……ルーシャン殿下、いらっしゃったの?」
視線をリリーに向け、ドロシーはそう問いかけた。すると、リリーは「はい。いつも通りダニエルさんと一緒です」と目を伏せながら答えてくれる。
(私が、こんなことをするなんてね)
自身の作り上げたポーションの数々を見つめながら、ドロシーはふっと口元を緩めた。その後、リリーに対し「運ぶの、手伝って頂戴」と言う。リリーは初めは何のことなのか分からなかったらしく、怪訝そうな表情を浮かべていた。が、すぐにドロシーのやっていたことに気が付き「かしこまりました」と一度だけ頭を下げてドロシーの作り上げたポーションが詰まった箱をを手に取る。
瓶に詰まった黄金色の液体は、さらさらとしているように見えた。ポーションは色も粘度も様々だ。魔法と掛け合わせるためなのか、一概に美しいものとは限らない。中には禍々しく、「これは毒?」と思われるような場合もあるのだ。まぁ、性能が良ければ見た目など後回しでいいという考えの人間が多いため、そこから改良されることは少ないのも関係している。
「リリー、ルーシャン殿下は何処にいらっしゃるのかしら?」
「玄関に一番近い応接間でございます」
いつもとは違う場所に案内したのだな。一瞬だけそう思ったものの、ドロシーはすぐに納得する。今は、一分一秒が惜しいのだろう。だから、移動時間を削った。魔物退治に行くとなれば、体力だって温存しておきたいはずだ。ハートフィールド侯爵家の屋敷はとても広く、ドロシーの生活スペースは屋敷の奥の奥。……移動距離もバカにならない。
それから、一体何時間経っただろうか。リリーがドロシーのことを呼びに来た頃には、空はオレンジ色に染まり始めていた。それに気が付き、ドロシーは顔を上げ、満足げに頷く。
「あら、リリー。……ルーシャン殿下、いらっしゃったの?」
視線をリリーに向け、ドロシーはそう問いかけた。すると、リリーは「はい。いつも通りダニエルさんと一緒です」と目を伏せながら答えてくれる。
(私が、こんなことをするなんてね)
自身の作り上げたポーションの数々を見つめながら、ドロシーはふっと口元を緩めた。その後、リリーに対し「運ぶの、手伝って頂戴」と言う。リリーは初めは何のことなのか分からなかったらしく、怪訝そうな表情を浮かべていた。が、すぐにドロシーのやっていたことに気が付き「かしこまりました」と一度だけ頭を下げてドロシーの作り上げたポーションが詰まった箱をを手に取る。
瓶に詰まった黄金色の液体は、さらさらとしているように見えた。ポーションは色も粘度も様々だ。魔法と掛け合わせるためなのか、一概に美しいものとは限らない。中には禍々しく、「これは毒?」と思われるような場合もあるのだ。まぁ、性能が良ければ見た目など後回しでいいという考えの人間が多いため、そこから改良されることは少ないのも関係している。
「リリー、ルーシャン殿下は何処にいらっしゃるのかしら?」
「玄関に一番近い応接間でございます」
いつもとは違う場所に案内したのだな。一瞬だけそう思ったものの、ドロシーはすぐに納得する。今は、一分一秒が惜しいのだろう。だから、移動時間を削った。魔物退治に行くとなれば、体力だって温存しておきたいはずだ。ハートフィールド侯爵家の屋敷はとても広く、ドロシーの生活スペースは屋敷の奥の奥。……移動距離もバカにならない。