【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
それからしばらく歩き、玄関に最も近い応接間にたどり着く。ここは主に商人などを呼んだ際に使用する部屋だ。王族を招くにはいささか質素かもしれないが、ルーシャンがいいと言えばいいのだろう。実際、王族とはそれほどまでに権力を持つ存在である。
ポーションが入った箱を持ち直し、ドロシーは応接間の扉をノックした。
「ルーシャン殿下。……ドロシーでございます」
静かにそう告げれば、中から「どうぞ」という声が聞こえてきた。その声は、ルーシャンのものではなくダニエルのもの。どうやら、ルーシャンの意を汲み取ってダニエルが声を発したらしい。
応接間の扉を開けば、中ではソファーでルーシャンが寛いでいた。が、その視線はとても鋭く、何か考え込んでいるのは一目瞭然で。ドロシーはその眼力に押されながらも、「お手紙、拝見いたしました」と言う。そして、ポーションの詰まった箱をテーブルの上に置いた。
「……ドロシー嬢」
ルーシャンの目が、ドロシーを射貫く。その目は、様々な感情が混ざり合ったかのように揺れている。普通の女性ならば怯んでしまいそうなその眼力に、ドロシーは思わず息を呑んだ。だが、すぐに持ち直しルーシャンの対面に腰を下ろした。
「……王子様って、大変ですのね」
にっこりと笑って、重苦しい空気を変えるかのようにドロシーはゆっくりと口を開いた。
ポーションが入った箱を持ち直し、ドロシーは応接間の扉をノックした。
「ルーシャン殿下。……ドロシーでございます」
静かにそう告げれば、中から「どうぞ」という声が聞こえてきた。その声は、ルーシャンのものではなくダニエルのもの。どうやら、ルーシャンの意を汲み取ってダニエルが声を発したらしい。
応接間の扉を開けば、中ではソファーでルーシャンが寛いでいた。が、その視線はとても鋭く、何か考え込んでいるのは一目瞭然で。ドロシーはその眼力に押されながらも、「お手紙、拝見いたしました」と言う。そして、ポーションの詰まった箱をテーブルの上に置いた。
「……ドロシー嬢」
ルーシャンの目が、ドロシーを射貫く。その目は、様々な感情が混ざり合ったかのように揺れている。普通の女性ならば怯んでしまいそうなその眼力に、ドロシーは思わず息を呑んだ。だが、すぐに持ち直しルーシャンの対面に腰を下ろした。
「……王子様って、大変ですのね」
にっこりと笑って、重苦しい空気を変えるかのようにドロシーはゆっくりと口を開いた。