玉響の花雫 あなたにもう一度恋を 壱
心の中で筒井さんのことを考えすぎて、
彼の声の空耳までとうとう
聞こえて来てしまった。
少し低めの穏やかな声が、
瞳を閉じると思い出されて
涙がまた出てきてしまう
ああ‥‥会いたかったな‥‥
『井崎さん、こんばんは。』
えっ?
さっきよりも
はっきりと耳元で聞こえた声に
閉じていた瞳を開けると、
隣に立っていた筒井さんの姿に
一気に涙が溢れてしまった
思い過ぎて幻覚が見えてるだけじゃ
ないのだろうか?
筒井さん‥‥
珈琲店もう閉まってしまいましたよ?
どうしているんですか?
私‥‥今日でアルバイトが
最後だったんですから‥‥
伝えたいことが沢山あるのに、
大好きな人のいつもと変わらない姿に
ただただ涙が溢れ出る
『今日で最後だと聞いていたので、
間に合って良かったです。
本当にお疲れ様でした。』
筒井さん‥‥‥
ポケットから出したハンカチを
私の手を取り握らせてくれると、
そのハンカチを握りしめ
目元に押し付けた。
なんで最後にこんな顔を
見せてしまったのだろう
珈琲を飲むついでじゃなく
わざわざここに来てくださったのに。
「‥ヒック‥‥ありがとうございます。」
ただのアルバイトが、
大切なお客様を困らせてしまうのは
いけないって分かってる。
マスターの珈琲が大好きで
週に3度も通ってくださるくらいだ
でも私は、
あのネックレスをいただいた日に
今日の運を賭けたんです
今日あなたがここへ来たら、
生きてきた人生で1番の勇気を出して
想いを告げようと。
ハンカチで涙を拭うと、
鼻水をすすりゆっくりと
筒井さんに向かって顔を上げた。
筒井さんすみません‥‥
今から私はあなたを困らせてしまうと
思いますが聞いてください。
「好きです‥‥。
私‥筒井さんのことが大好きです。」
震える声でそう伝えてから笑うと、
涙がまた一筋頬に流れ落ちていく。
『‥‥井崎さんありがとう。
僕もここへ来て、席から見る
あなたの接客がとても大好きでした。
ここも寂しくなりますね‥‥。』
「‥‥いつでもいらしてください。
マスターもとても嬉しいと思います。
筒井さん‥‥ありがとうございます。
お元気で‥」
『井崎さん?』
私を傷つけないようにと、
働いていた姿を褒めて断ってくれた
大好きな筒井さんに、
笑顔で最後にお辞儀をすると、
そのまま背を向けて勢いよく走った。
大丈夫‥‥‥
振られることなんてわかってたから。
あんな大人で素敵な人と
どうにかなりたいなんて
夢を見れただけでじゅうぶん。
これでやっと前に進める‥‥
「ウッ‥‥ウウッ‥‥」
止まらない涙を流しながら
家のそばまで来て立ち止まると、
握りしめたままのハンカチで顔を覆う。
筒井さん‥本当に大好きでした。
私もあなたのような素敵な大人になれるように頑張ります。
そしていつかまたどこかで
会えることがあったら、
その時はマスターの珈琲を一緒に
飲んでください‥‥
次の日、私は、貯めたバイト代で
有名な美容院に行き
髪の毛をバッサリ切った。
願掛けのように
伸ばしていたわけじゃないけど、
勇気を出した自分を受け入れつつ
変わりたかったのだ
筒井さん‥ありがとうございました。
晴れ渡る青空に向かって背伸びをすると
新しい未知な世界に向かって歩き始めた
彼の声の空耳までとうとう
聞こえて来てしまった。
少し低めの穏やかな声が、
瞳を閉じると思い出されて
涙がまた出てきてしまう
ああ‥‥会いたかったな‥‥
『井崎さん、こんばんは。』
えっ?
さっきよりも
はっきりと耳元で聞こえた声に
閉じていた瞳を開けると、
隣に立っていた筒井さんの姿に
一気に涙が溢れてしまった
思い過ぎて幻覚が見えてるだけじゃ
ないのだろうか?
筒井さん‥‥
珈琲店もう閉まってしまいましたよ?
どうしているんですか?
私‥‥今日でアルバイトが
最後だったんですから‥‥
伝えたいことが沢山あるのに、
大好きな人のいつもと変わらない姿に
ただただ涙が溢れ出る
『今日で最後だと聞いていたので、
間に合って良かったです。
本当にお疲れ様でした。』
筒井さん‥‥‥
ポケットから出したハンカチを
私の手を取り握らせてくれると、
そのハンカチを握りしめ
目元に押し付けた。
なんで最後にこんな顔を
見せてしまったのだろう
珈琲を飲むついでじゃなく
わざわざここに来てくださったのに。
「‥ヒック‥‥ありがとうございます。」
ただのアルバイトが、
大切なお客様を困らせてしまうのは
いけないって分かってる。
マスターの珈琲が大好きで
週に3度も通ってくださるくらいだ
でも私は、
あのネックレスをいただいた日に
今日の運を賭けたんです
今日あなたがここへ来たら、
生きてきた人生で1番の勇気を出して
想いを告げようと。
ハンカチで涙を拭うと、
鼻水をすすりゆっくりと
筒井さんに向かって顔を上げた。
筒井さんすみません‥‥
今から私はあなたを困らせてしまうと
思いますが聞いてください。
「好きです‥‥。
私‥筒井さんのことが大好きです。」
震える声でそう伝えてから笑うと、
涙がまた一筋頬に流れ落ちていく。
『‥‥井崎さんありがとう。
僕もここへ来て、席から見る
あなたの接客がとても大好きでした。
ここも寂しくなりますね‥‥。』
「‥‥いつでもいらしてください。
マスターもとても嬉しいと思います。
筒井さん‥‥ありがとうございます。
お元気で‥」
『井崎さん?』
私を傷つけないようにと、
働いていた姿を褒めて断ってくれた
大好きな筒井さんに、
笑顔で最後にお辞儀をすると、
そのまま背を向けて勢いよく走った。
大丈夫‥‥‥
振られることなんてわかってたから。
あんな大人で素敵な人と
どうにかなりたいなんて
夢を見れただけでじゅうぶん。
これでやっと前に進める‥‥
「ウッ‥‥ウウッ‥‥」
止まらない涙を流しながら
家のそばまで来て立ち止まると、
握りしめたままのハンカチで顔を覆う。
筒井さん‥本当に大好きでした。
私もあなたのような素敵な大人になれるように頑張ります。
そしていつかまたどこかで
会えることがあったら、
その時はマスターの珈琲を一緒に
飲んでください‥‥
次の日、私は、貯めたバイト代で
有名な美容院に行き
髪の毛をバッサリ切った。
願掛けのように
伸ばしていたわけじゃないけど、
勇気を出した自分を受け入れつつ
変わりたかったのだ
筒井さん‥ありがとうございました。
晴れ渡る青空に向かって背伸びをすると
新しい未知な世界に向かって歩き始めた