玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
仲がいいのか悪いのかいつもこんなやり取りを見てる気がするけど、
蓮見さんにもう一度お礼を伝えると
またすぐに抱きつかれて
ギャーギャー言われていた。


『俺明日仕事だからそろそろ帰るわ。』


『お疲れ、またな。拓巳もそろそろ
 帰れよ?』


『はいはい、帰りますよ。』


11時を過ぎる頃、亮さんが
欠伸をしながら立ち上がり帰る支度を
し始め、片付けをしていた手を止めて
筒井さんと玄関までお見送りに行った


『井崎さんまたね。』

『霞ちゃん襲われないように‥
 いってぇ!』


亮さんに頭を叩かれていた蓮見さんに
苦笑いを送り手を振ると
一気に部屋の中が静かになる


2人とも元気だから、存在感が
すごいもんね‥‥


『俺シャワー行くけど、先にいい?』


ドキン


「あ、どうぞ!私片付けてますから。
 お気になさらず。」


『フッ‥。顔真っ赤。』


頭を軽くポンっとされると、
私はまた更に顔が赤くなってしまった


てっきり2人も泊まっていくかと
思ってのこのこ着いて来たけど、
2人ともここに住んでるから
泊まるわけないよね!?


リビングのテーブルの上の缶やビンを
集めてから洗い物をしていると、
シャワーだけなのかすぐに
筒井さんが出て来てしまい、
走って汗をかいたりしたので、
私もシャワーをさせてもらった。


「ありがとうございました‥‥って
 あれ?‥‥いない?」


歯磨きをして肌のお手入れを
してから戻ると、
リビングの明かりが消えていて、
キッチンだけ電気が着いていた。


冷蔵庫からミネラルウォーターを
取り出して飲むと、ベランダで
煙草を吸っている筒井さんを見つける


仕事中は吸わないし、
みんなといる時も筒井さんは
絶対吸わない。


亮さんは前に吸っているのを
見たことあるけど、蓮見さんは
あんな感じだけど吸わないから
それこそ意外だった。


カラカラ


「筒井さんお風呂頂きました。
 ありがとうございます。」


暗がりで煙草を吸う
姿があまりにも色っぽくて
綺麗とさえ思えてしまう。


『疲れてないか?』


「はい。‥楽しかったです。
 筒井さんの方がお疲れだと
 思いますからゆっくり寝てください。
 あのお布団って何処ですか?
 私自分でひきますから。」


私が起きてると寝にくいと思うし
私のせいで無理させてしまって
すごく大変だったと思う‥‥


ベランダに置かれた灰皿で煙草を消すと
部屋の中に入って来た筒井さんは
私の頭を撫でた後、そのまま
歯を磨きに行ってしまい、
仕方なくソファで座って待っていた。


『‥‥おいで、寝るぞ。』

「えっ?あのお布団は」


『そんなものあるわけないだろ?』

ドクン


手を繋がれて一緒にリビングから
出ると、廊下に面した部屋のドアを
開けたのでそこで私は立ち止まった
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