玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
筒井さんの家で過ごした夢のような
週末を終えて、また1週間が始まり
あっという間にまた金曜日を迎えた。


『今日は来客が多かったし、
 電話も沢山だったから疲れたね。
 また来週もよろしくね。
 お疲れ様です。』


「お疲れ様です。今日も色々と
 ご指導ありがとうございます。」


業務が終わり切らず少しだけ
仕事をして残ると佐藤さんに伝え
挨拶を済ませると、付箋に貼っておいた
細かい入力を間違えないように
入力を始めた。


受付の備品の発注も総務に
メールしないといけないから
なるべく早く終わらせよう。



『霞、お疲れ様。残業?』


「うん、今日は特別バタバタだったから
 終わらせれなかった。
 菖蒲はデート?」


『ううん、今彼は出張中だから、
 ネイルとマッサージ行ってくる。
 また来週ね。』


「うん、気をつけてね。お疲れ様。」


先日菖蒲と久しぶりに晩御飯を
一緒に食べた時に、筒井さんとの
事を伝えると泣いて喜んでくれたのだ


平日は仕事が始まってしまえば、
筒井さんは当たり前だけど
忙しい訳で、郵便を届ける時か、
来客対応でエントランスにお客様を
お出迎え、お見送りなどの際に
顔が見れる程度だった


公私混同は出来ない人って
分かってるし、同じ会社で
こうして見かけれるだけで幸せになれる
から毎日会えなくても大丈夫だった。


帰る人に挨拶をしながらも、
一つひとつ仕事を終わらせてくと、
あっという間に18時を過ぎてしまい、
ようやくパソコンの電源を落としてから
掃除と片付けが出来た。






『お疲れ様です。』


制服から着替え終わって
エントランスに続く扉を開けたら
壁にもたれて待つ筒井さんが
普通にいて驚いてしまった。


「お、お疲れ様です‥‥
 どうかされたんですか?」


先週の金曜日のことがあったから、
ここに来るっていうことは、
また何かあったんじゃないかって
不安になってしまったのだ


八木さんとのこともあるけど、
筒井さんはやっぱり社内で人気みたい
だし誰かに見られてるんじゃないかって
思うと気になってしまう


仕方ないよね‥‥


背も高いし、顔立ちも整ってる。
それに仕事中は落ち着いた口調で
話されてるしみんなが好きになるのも
分かるから。


『送ってくから食事に行かないか?』


えっ?


忙しいからなかなか会えないと思っていたので、まさかのお誘いに何度も
頷いてしまう



『フッ‥‥素直だな。じゃあ行くぞ。』


綺麗な瞳が細められて笑うだけで、
顔が赤くなってしまいそうで、
すれ違う人にバレないように俯きながら
地下まで移動をした。


『どうぞ、乗って。』
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