玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
『滉一は当然行くよな?』

『‥‥‥ああ。』


嬉しい‥‥‥

またみんなであの景色を見れることも
過ごせることにも。


『オッケ。じゃあ俺は食べたから
 出かけてくるわ。霞ちゃん、
 朝からお邪魔虫して悪かったね。』


お邪魔虫って‥‥‥
蓮見さんを虫に例えると何故だか
笑えてしまう


こういうところが憎めないんだよね‥
落ち着いた筒井さんとはとても
同い年には見えない。


「筒井さん疲れてると思いますので、
 帰ったらゆっくりされてください。
 私は電車で帰れますから。」


歩きながらマンションに向かって
行きながら、隣を見上げた。


役職だけじゃなく、イリスさんの
こともあって疲れてるのに、
私がいたら多分休めない。


私も帰ったらまたスーパーに行って
常備菜作らないといけないのだ。


「筒井さん?」


『あ、悪い。
 送ってくから気にするな。』


なんだろう‥‥。
モーニング食べてた途中から、
珍しくぼーっとしてる気がする。


やっぱり疲れてるよね‥‥
ベッドも占領してしまったし。
それにあんな沢山動いて‥‥‥


あーもう!
思い出すところじゃないのに
また恥ずかしくなってくる


結局あの後筒井さんが
スーパーに寄ってくれて、
私の家で少しゆっくりしてから
帰って行った。


来月が楽しみだな‥‥
またサイクリングするって言ってたし、
秋は景色も違って見えると思うし
星空もきっと‥‥


それからの毎日はその楽しみだけで
頑張れる。
単純なんだけど、何か楽しみなことが
待ち構えてるとより頑張れて
しまうって思う


筒井さんとは平日はなかなか
会えないけれど、金曜日には
必ず一緒にご飯を食べて時間過ごし
たりしながら過ごしていた。


『今日も泊まっていけばいい。
 亮達がいるから騒がしいが、
 お前が嫌じゃなければ。』


私が泊まらないと筒井さんは
お酒も飲めないし、夜遅くに
送ってくって必ず言うので、
亮さん達がいるなら泊まろうかな‥


「はい、じゃあそうします。」


『いつもの準備だけしておいで。
 ゆっくりでいいから。』


旅行まで2週間となり、朝晩が
かなり冷え込んできたので、
寒くないように温かい服も入れてから
ベランダの植物にお水をあげていたら
車の外で電話をしている筒井さんが
見えた。


お仕事の電話かな‥‥
タバコも吸われてないし‥‥


急ごうかと思ったけど、
気を使わせてしまうといけないから
少し時間をずらしてから下へ向かうことにした。


『Je veux que tu attendes encore
 un peu.
 Je ne peux pas encore vous donner de réponse.』 

えっ?
< 119 / 141 >

この作品をシェア

pagetop