玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
空を見上げた筒井さんと
一緒に上を見上げる

涙が溢れてこないように‥‥‥


『井崎さーん!もう一品作ろう?』


「はーい!」


塀の向こうにいる古平さんに
呼ばれたので立ちあがると、
筒井さんはもう少しここで飲んでから
行くといい、先にデッキに向かった。


『多分大男たちは肉がないと
 騒ぐから、お肉とマッシュルームと
 パプリカのアヒージョを
 作ってみた』


「うわぁいい香りですね。
 こっちの
 アルミホイルはなんですか?」


丸いものをホイルで包み
そのまま網に乗せられていたから
そっちも気になった


『ああ、それは林檎よ。
 焼き林檎にバターとシナモンと
 蜂蜜かけて食べるととろけるのよね。
 ワインにも合うし食後用よ。』


焼き林檎!!
食べたことないけど、既に
材料を聞いただけで美味しいのが
分かる!!


アウトドアを何度もしてると、
こういうことを思いつくんだーって
古平さんは言ってたけど、
本当に勉強になる。


『おーいい匂いするじゃん!!』


シャワーを浴び終えた3人が
順々にデッキに出て来たので、
食器を用意してみんなで乾杯をした。


『おーーいいオコゲ!!』


炊き込みご飯は鍋の底にカリカリの
コゲが出来ていてみんなで熱々の
ご飯や豚汁を沢山食べて飲んだ。


『井崎さん栗食べれる?』

「栗ですか?はい、大好きです。」


亮さんがビールを飲みながら、
キッチンに向かうと、沢山栗を
持って来てそのまま網の上に置いていく


「どうしたんですか?栗なんて。」


『ん?早めに来て敷地内の栗の木から
 拓巳と一緒に取ったヤツだよ。
 焼き栗もお酒に合うんだよね。』


ほんとにみんなアイデアが満載で
見てて全く飽きないや‥‥


焼き林檎もホクホクで甘くて
美味しいし、家やレストランでは
食べられない美味しさが味わえると、
みんなお昼寝タイムにそのまま
突入した。


前回はここで寝ちゃったんだよね‥
5月とは違って肌寒いから、
今回はここで寝たら風邪ひきそうだ。


またみんなを起こさないように静かに
片づけをしていると、サッシを開ける
音と共に筒井さんが毛布を持って
やって来た。


「筒井さん寝ないんですか?」


『寝るよ。こっちにおいで。』


えっ?


デッキに置いてあるガーデンベッドに
もたれて座ると、筒井さんが私を
手招きしたので、椅子の端に座った


『フッ‥。こっちに来い。』
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