玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
そう言うと、おかしくなって
2人で笑いながら片付けをした。


『先にお風呂に行っておいで。
 あとやっとくから。』


「ありがとうございます。」


冬はシャワーだけだと寒いので、
一階のお風呂にお湯をはって
古平さんと一緒にゆっくり
入らせてもらった。


男性陣はめちゃくちゃ飲んでるから、
シャワーだけにして
朝風呂に入るらしい。


「私明日の朝走りたいので
 お先に寝ますね。」


トレーニングウェアもまた
洗わせて貰ったので、空気が美味しい
環境でランニングしたかったのだ


『お、いいね。
 じゃあみんなで走るか?』


『お前は起きれたらな?』


『あ、お前霞ちゃんと2人で
 行くつもりだろ!?』


ああ、また始まった‥‥


4人に挨拶を済ませると、
ベッドに入った途端疲れてたのか
ぐっすり眠ることが出来た。



ブーブーブーブー


「んっ‥‥」


バイブ音の目覚ましに、
古平さんを起こさないようにすぐ
止めるとベッドサイドに準備してあった
ウェアに着替えてから洗顔と歯磨きを
静かに済ませて部屋を出た



うう‥‥流石に山の上の朝は寒い


一階に降りてから、
温かい飲み物を飲もうと
キッチンに向かうと、筒井さんが
起きていてトレーニングウェアを
着ていた。


「‥おはようございます。」


『おはよう。お前も飲むか?』


「ありがとうございます。
 筒井さんも走られるんですか?」


筒井さんは珈琲を。
私はカフェオレにして一緒に
デッキに出て飲みながら
ストレッチをすることにした。


蓮見さんや亮さんは遅くまで
飲んでいたみたいで、起きる気配も
ないらしい


古平さんも昨日3時過ぎくらいに
部屋に来た気がするから
さっきも爆睡してたもんね‥‥


きっとみんな10時くらいまで起きない
から、運動したら朝ごはんを作って
あげよう‥‥


『フッ‥お前を1人で走らせるわけ
 ないだろ?』


「えっ?痛っ!痛いですっ‥ンッ」


目の前に来た筒井さんが、
鼻を摘んだあと
私の顎を持ち上げると、朝から
目が覚めるような深いキスを
落として来た。


「な‥‥‥なん‥」


『さ、行くぞ。』


「あ、待ってください!」


好きな人と、大自然の中を
ただゆっくり走るだけなのに、
幸せに感じてしまう‥‥


いつもは2歩も3歩もそれ以上先も
歩いてしまっている筒井さんと
同じペースで並んで走ると
今だけは近づけている気になれるから


「うわ‥‥綺麗‥‥」


さっきまでは薄暗かった世界に
朝日が差し込むと、湖が陽の光を
受けて反射し始めると、綺麗すぎて
立ち止まってしまった


この景色を今1人じゃなく
2人で見れていることに感謝しよう‥



後ろから抱き締められ、
暫くその美しさを2人で眺めた後
1時間くらいランニングをして
ゆっくり別荘に帰ってきた。


「ハァ‥走るとやっぱり気持ちいい
 ですね。早起きして良かったです。」


『そうだな‥‥。でも今日は早く
 寝るなよ?星を見に行くだろ?』


「はい、一緒に見たいです‥‥」
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