玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
『お疲れ様です。
 総務課に仮部署配属になった
 井崎 霞さんです。
 週に2日、山崎さんがいる日に
 受付で研修してもらいます。』


受付には、2人総務課の人がいて、
山崎さんは妊娠中だった。
身体のこともあり上の総務課で働く日と
受付を兼任しているみたいだ。


「井崎 霞です。
 よろしくお願いします。」


丁寧に2人に向かってお辞儀をしてから
体を起こすと、2人が顔を見合わせた後
ニコッと笑ってくれた


『山崎 陽菜です。
 受付は6年目になります。
 産休に入る前に一緒に働けて
 嬉しいです。よろしくね。』


お腹が大きな山崎さんが立ち上がると、
美しいお辞儀の仕方で返してくれた。


『受付2年目の佐藤 美香です。
 井崎さんのお辞儀とても丁寧ですね。
 どうぞよろしくお願いします。』


佐藤さんも美しいお辞儀で
挨拶をしてくれたので、私ももう一度
お二人に頭を下げた。


『フロント業務は
 2人に聞けば大丈夫だから、
 掃除や備品の管理など、
 やらないといけないことを
 少し私から案内しながら教えるので
 終わったらここに来ますね。
 山崎さんよろしくお願いします。
 じゃあ井崎さんまずは
 掃除からやろうか。』


「はい」


受付に立って仕事をするのかと
思いきや、エントランスの隅にある
従業員専用の扉を開けると、そこには
更衣室やトイレ、リフレッシュスペースの他にも、洗濯乾燥できるランドリーや医務室まで備え付けられていた。


『フロントってなかなか長時間
 離れられないから、
 トイレとか休憩室は
 すぐここで済ませれるように
 しているの。
 2人もさっきつけていたけど、
 インカムは必ず着用。
 忙しい時や戻ってきて欲しい時は
 すぐにここから戻れるようにフロント
 専用のような休憩スペースなの。
 で、ランドリーのここに掃除道具が
 入ってて、エントランスの植物の埃や
 水やり、受付のカウンターの掃除も
 フロントの仕事になってる。
 床や階段とかは清掃業者が
 入ってるけど、その他は
 自分達で毎日お手入れするの。
 ここまで大丈夫?』


「はい、大丈夫です。」


『来客が多い日は
 トイレに行くのも水分補給も
 タイミング失うと大変だから、
 ペアの人と連携取るように。
 あと‥‥1番奥がフロント専用の
 更衣室になってるから、2人と同じ
 制服がロッカーに入ってるので
 着替えてからの掃除になるよ。
 受付は常に誰かに見られてるから
 身だしなみは本当に大切。
 立ち居振る舞い、話し方一つが
 会社の評価につながる場合も
 あるからプレッシャーを感じさせて
 申し訳ないけど、いい経験と成長に
 繋がるから頑張ろうね。』
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