玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
何気ない会話の中に小さく聞こえた
『俺も』という言葉一つに意識がいき、
顔がどんどん熱くなってしまう


筒井さんも
私が来てくれたら嬉しいって思うの?



「‥‥本当に行ってもいいんですか?」


心臓がいまだにドクドクと煩いし、
顔だけじゃなく体にも
酔いが回るかのように血が巡り
熱くなっていくのが分かる


菖蒲も想うだけならいいって
言ってくれたから
少しでも一緒に過ごせる
時間が目の前にあるのなら
自分から飛び込んでみたい


『当たり前だろ?
 あと、連絡先を聞いてもいいか?
 時間とか持ち物とか
 詳しいことはまた教えるから。』


「はい」


慌てて鞄からスマホを取り出すと、
緊張して手が震えそうになりながらも、
筒井さんと連絡先を交換してしまった


『フッ‥‥。顔が真っ赤だな。
 今日はゆっくり休んで早く寝ろよ?
 それじゃ。』


「ありがとうございました。
 あ、あの、楽しみにしてます。」


ガチャっと運転席のドアを開けると
乗り込む前に私の方を見て
筒井さんが少しだけ笑った。



酔っ払ってるのかぼーっとした頭で
家の鍵を開けて入ると、靴を脱いでから
その場にまたドスンと座り込んだ



筒井さんに連休中会える‥‥
会えるんだ。


「なんかもう全部が夢みたいだ‥‥」


ほてった顔が熱くて洗面所に行くと、
泣き腫らした顔にお酒で
真っ赤になった顔があまりにも
酷すぎて項垂れる



1番見られたくない人に
1番長く見られることに
なってしまったけど、
偶然でも送ってもらったことで
誘っていただけたので良かった‥‥


熱めのシャワーを一気に浴びると、
顔のパックとマッサージを
念入りにしてから眠りに着いた。

 
連休中は、
掃除をしたり、まだ必要最低限の
ものしかなかった家に小物を増やしたり
グリーンを増やしたりと買い物にも
沢山行った。


ベランダでハーブや育てられる野菜も
作れるようにプランターや苗も見に行き
以前よりもかなり生活感が出てきた
気がする。


1DKでトイレとお風呂が別だから
割と私の給料からすると高い家賃だし、
贅沢な暮らしはそんなに出来ないけど、
貯めてきたお金を少しずつ使いながら
居心地がいいお家に変えて行きたい。


筒井さんに連絡先を聞いたものの、
こちらからする勇気は出ず、
いつ来るか分からない連絡に
ソワソワしながら
何度もスマホを確認してしまってる


実家に顔を出したり、
大学の時のみんなと会ってる時も
やっぱりスマホを気にしてしまう


お母さんが夜勤じゃない日に
1日だけ実家に泊まり、ようやく2日の日の午後に筒井さんからの
初メールを受診して
ドキドキしながら震える手で開いた


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明日、朝8時に迎えに行く。
泊まりになるから準備よろしく。


筒井


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‥‥‥‥ええっ!!泊まり!!?
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