玉響の花雫       あなたにもう一度恋を 壱
からかう蓮見さんがお構いなしに
ゲラゲラ笑っていたので、
両手で頬を隠すように覆ってしまう


『霞ちゃん夜は長いからねー。
 お楽しみはこれからじゃない?
 さ、行くよー。』


「蓮見さん本当に違いますから!」


いつのまにか荷物が全部運ばれていて
トランクを最後に閉めた蓮見さんを
急いで追いかける。


落ち着け落ちついて‥‥


あれはただ子供みたいに泣く私を見て
揶揄ってしただけなことだから、
ここで舞い上がったら勘違いだと
思われて引かれる‥‥


追いかけながらも深呼吸をすると、
目の前の大きな別荘に足が立ち止まった


なんかすごい‥‥大きいし
すごく素敵で立派なログハウスだ


キャラメルブラウンカラーの2階建ての
ログハウス風の建物が緑の中に溶け込み
より際立って見える


『井崎さん!!待ってたよ!!』


「古平さん、こんにちは。」


『あー女子がいるっていいね。
 毎年女扱いされずに飲まされてたから
 来てくれて嬉しい!ありがとう。』


「誘っていただけて嬉しいです。
 本当に素敵な別荘ですね!」


『でしょ?飲まされるのは嫌だけど、
 ここに来るのは楽しみなんだよね。
 さ、中に入ろう?』


古平さんと話しながらドアを開けて
入ると、中もすごくオシャレで
かなり広めのリビングダイニングに
みんなが集まっていた


『よし!みんな揃ったから、とりあえず
 荷物片付けてから外に行くぞ。
 部屋はいつも通りで、霞ちゃんは
 古平が寝る部屋がツインだから
 2階の1番奥を使って?』


「ありがとうございます。」


自分が持ってきた荷物がないか
探していると、何処にもなくて
古平さんに聞いてみたら筒井さんが
部屋に運んでくれたみたいだった。



どうしよう‥‥さっきのことで
話しかけにくいけど、普通にしないと
みんなに変に思われる。


周りの雰囲気壊すなら中には
入れられないって言われてるし‥‥


冷蔵庫にビールをしまっていた
筒井さんに近付くと、私に気付いたあと
一旦手を止めてくれた。


「あ、あの‥‥鞄を運んでくださって
 ありがとうございました。」


『フッ‥‥朝も思ったが、
 一泊なのに何を入れたらあんなに
 重い荷物になるんだ?』


ウッ‥‥


だって‥‥
何着ていいか分からなかったし、
色々入れてしまったから
ものすごく荷物が
多くなってしまったのだ。


「すみません、重かったですよね?
 ありがとうございます。」


『井崎さん』

「は、はい」


『これはお前の分だから。
 ビールとワインは飲むなよ?』


見せてくれたのはアルコールが低めの
お酒だったので、ハッとした。


さっき亮さんに言っていたのは
ビールとワインを飲むなって
事だったんだ‥‥


「ありがとうございます。
 それ全部飲みます。」


『はあ?調子に乗るな。
 あんまり飲みすぎるなよ?』


呆れていた筒井さんにお辞儀をすると
2階に行き古平さんと一緒に
荷物を少し整理した。


『井崎さん運動しやすい服装
 持ってきてる?』


「あ、筒井さんからのメールで
 運動しやすい服か動きやすい
 服があれば持ってきてって
 連絡きてたので一応一通り
 持ってきましたけど
 何するんですか?」


『まぁまぁ、後でのお楽しみ。
 私も初めての時は感動したから。
 着替えてから下に行こう?』
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