クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 ライベクーヘンがあまりにも美味しかったので、祐駕くんとお代わりのためにもう一度並んだ。
 二人でそれを頬ばりながら、祐駕くんのおすすめだと言うシャンピニョンの屋台に並んだ。
 バター風味のソースがかけられたマッシュルームに、スライスしたパンがついている。

「美味いだろ、これも」
「うん、最高!」

 と、答えたのだけれど。

「あのさ、まさかこのあとレストラン予約してるとかある?」

 日本にいた時も、ドイツに来てからも、全てスマートにことを運ぶ祐駕くん。もしかしたら、と不安が胸をよぎった。

「してないから、安心しろ。映茉がクリスマスマーケット楽しみにしてるって分かってたから、今夜はここで思う存分食べて欲しい」

 祐駕くんは大きな口を開けて、シャンピニョンを頬張る。そんな祐駕くんを、思わずじいっと見てしまう。

 私のために、色々考えてくれてたんだよね。

 なんだかじーんと来てしまい、その気遣いに頬が緩んでしまう。

「ありがと」
「こういうのは、現地で楽しむのが醍醐味だからな。学園祭の屋台とか、日本のお祭りグルメと同じだ」
「うん!」
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