クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜

深まる愛と彼の夢

「楽しかったー!」

 ホテルに戻ると、私は思わずベッドにダイブした。
 普段から立ち仕事だから歩くのには慣れていたつもりだが、ドイツの寒さと慣れないブーツのせいで、ふくらはぎの辺りが変な感じがする。

「疲れたか?」

 祐駕くんはベッドサイドに腰かけ、そんな私の髪をふわりと撫でた。

「んー、疲れたけどそれ以上に楽しさが勝ってる! 寒かったけど、ホテルの中は温かいし」

 言いながら、うつ伏せのまま足を膝からバタバタさせてみせる。

「そうか」

 祐駕くんは突然、私の右腕を掴む。

 え? と思ったときには、私は仰向けにされ、上に祐駕くんが覆いかぶさっていた。両手首は祐駕くんによってベッドに縫い止められ、動けない。

「体力、まだ残ってるってことだよな?」

 じっと私を見つめる祐駕くんは熱情を孕んでいる。その瞳から、目が離せない。ドクドクと、急速に鼓動が早まった。
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