クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 目が覚めると、ベッドに一人きりだった。あくびをこぼしながら身体を起こし、伸びをすると上半身裸の祐駕くんが首にかけたタオルで頭を拭いていた。

「わあ、ごめん!」

 慌てて布団を頭までかぶる。するとベッドの左側が軋み、祐駕くんがそこに腰掛けたのだと悟った。

 ペラリと布団を捲られ、慌てて胸元を隠した。
 一糸纏わぬ姿だ。恥ずかしい。

「今更恥ずかしがらなくてもいいだろ」
「で、でで、でも!」

 一度目は起きたらナイトウェアを着ていた。二度目は起きた時、祐駕くんはすでに部屋にいなかった。

 だから、こんな事態は初めてで、しかも昨夜はすべてをさらけ出し合ってしまった。それが相まって、余計に顔が熱くなる。

 祐駕くんは口角を優しく緩め、私の上に何かをバサリとかぶせた。バスローブだ。

「悪いが、今日はベルリンに戻らなきゃいけないから、早く出たいんだ。シャワー、浴びるだろ?」
「うん、あ、ありがと!」

 祐駕くんが背を向けた隙にさっとバスローブを羽織ると、私はそそくさとシャワールームへ向かった。
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