クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
身支度を整え、ホテルを出た。
まだ日の昇ったばかりのミュンヘンの街。底冷えしたような空気もあるが、祐駕くんの運転する車の中は温かい。
ホテル近くのカフェで朝食をテイクアウトすると、祐駕くんの車はミュンヘンを出てアウトバーンへ乗った。
祐駕くんが買ってくれたのは、ドイツ名物だという薄焼きのピザみたいなもの。トマトソースの代わりにサワークリームが塗られており、カリカリの生地にベーコンや玉ねぎが乗っている。ピザと言うより、クラッカーで作ったカナッペを食べている感覚だ。
「美味しい。祐駕くん、運転してると食べられないね」
「平気。俺は映茉が起きる前に、色々つまんだから」
「でも、運転大変じゃない? 私、てっきり電車移動かと思ってた」
ミュンヘンから祐駕くんの住んでいるベルリンまでは、500キロも離れている。
ドイツと言ったらノイシュバンシュタイン城に行きたいと言った私の意向を汲んで、祐駕くんはこの日程を組んでくれたらしい。
ドイツ行きが決まってから観光ガイドブックを読んで知ったあまりの距離に、申し訳なくなったのを思い出す。
まだ日の昇ったばかりのミュンヘンの街。底冷えしたような空気もあるが、祐駕くんの運転する車の中は温かい。
ホテル近くのカフェで朝食をテイクアウトすると、祐駕くんの車はミュンヘンを出てアウトバーンへ乗った。
祐駕くんが買ってくれたのは、ドイツ名物だという薄焼きのピザみたいなもの。トマトソースの代わりにサワークリームが塗られており、カリカリの生地にベーコンや玉ねぎが乗っている。ピザと言うより、クラッカーで作ったカナッペを食べている感覚だ。
「美味しい。祐駕くん、運転してると食べられないね」
「平気。俺は映茉が起きる前に、色々つまんだから」
「でも、運転大変じゃない? 私、てっきり電車移動かと思ってた」
ミュンヘンから祐駕くんの住んでいるベルリンまでは、500キロも離れている。
ドイツと言ったらノイシュバンシュタイン城に行きたいと言った私の意向を汲んで、祐駕くんはこの日程を組んでくれたらしい。
ドイツ行きが決まってから観光ガイドブックを読んで知ったあまりの距離に、申し訳なくなったのを思い出す。