クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際０日な私たちの幸せ演技婚〜

「飯でもどうだ？　よかったら、今夜」
「え、今夜！？」
「ああ。都合が悪いだろうか？」
「いや、仕事はもう終わりだから大丈夫だけど」

　言えば、持月くんは「よかった」と小さく漏らす。

「レストランはこちらで手配する。時間は……午後八時でどうだ？」
「え、あ、うん、平気！」

　言えば、持月くんはメッセージアプリのＩＤを教えてくれる。慌ててメモを取ると、「そっちに連絡する」と言って彼は電話を切った。

「今夜、誰かと会うのか？」

　旭飛が、なぜか眉間に皺を寄せていた。

「うん。今日、急病人の救護手伝ってくれた人」
「咲多さんの、高校の同級生なんだって」

　駅長の言葉にこくりと頷く。すると、駅長は私にA3サイズのクリアファイルを差し出してきた。中には、〝感謝状〟が入っている。

「頼んだよ、咲多さん」
「はい、しかとお手渡しさせていただきます」

　受け取ると、なぜか旭飛が「ふうん」と唇を尖らせた。