クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際０日な私たちの幸せ演技婚〜

「生まれる場所が違ったら。生まれる時代が違ったら。ほんのちょっとの差で、俺は全然違う運命を生きていた。だから、少しでも世界が平和になるようにつとめたい。――それが、平和な場所に、平和な時代に生まれた俺の、使命だと思う」

　そう言う祐駕くんの顔は、とても凛々しく見えた。

　高校の時から、祐駕くんは何となく周りと違う空気を醸していた。それは、胸の内にこの想いがずっとあったからなのだろうと、今、腑(ふ)に落ちた。

「俺は世界を憂(うれ)いているだけの人間にはなりたくはないんだ。とはいっても、外交官としてはまだまだ、何もできないけどな」

　最後はこちらに笑みを向けた祐駕くん。でもその眉は、自分は未熟だと言うように下げられている。

　けれど私は、夢だけで終わらせないその姿勢と、使命感に胸を打たれた。

　祐駕くんには、明確な目標がある。
　彼の目指す世界は、きっと優しい、平和な世界だ。