クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「ううん、そんなことない。祐駕くんなら、できると思う」

 じっと祐駕くんの目を見て言えば、祐駕くんははっと目を見開く。それから、その目を優しく細めて、コンクリートに触れていた手を私の頭に乗せた。

「映茉に言われると、本当にできるような気がする」

 そう言う祐駕くんの顔は、優しさに溢れている気がする。そんな優しい彼の想いに、私も平和を願わずにはいられなくなった。

 世界中がみんな仲良く、平和な日が訪れますように。

 両手を合わせ、目を閉じ祈った。

「ありがとな」

 祐駕くんは目を開いた私にそう言って、私の右手を優しくすくい上げた。

「そろそろ、レセプションの準備をしなくてはならないな。一旦、俺の家に帰ろう」
< 127 / 251 >

この作品をシェア

pagetop