クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 先程の服に着替えて出かけたのは、近くにあるブティックだった。
 ドレスやタキシードの飾られたそのお店は、入り口に警備員が待機しており入るのに気後れしてしまう。きっと高級なお店なのだろう。

 祐駕くんはその警備員の横を堂々と通る。横を通り過ぎる時に頭を下げられたから、もしかしたら祐駕くんはよく来るお店なのかもしれない。

 店内に入るやいなや「俺に任せて」と、女性店員と話し込む祐駕くん。
 ドキドキしながら彼の背中を見ていたら、女性店員に試着室に押し込まれ、別の店員が持ってきたドレスを着せられた。

「わぁ、可愛い」

 シャンパンピンクのカクテルドレスは膝下丈ながらも上品さを兼ねている。ハイネックだから胸元は見えないが、体のラインに沿った作りは女性らしさを醸し出す。

 両肩から肘までを隠す袖は花柄のレース。
 大きく開いている背面は大胆でちょっと恥ずかしいけれど、そんなベアバックも女性らしいと思う。

 思わず背中を鏡に映し、首だけで後ろを振り向いて、その姿をチェックする。
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