クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 キラキラとした、けれど落ち着いた暖かな空間。大きなその広間の中央には、大きなクリスマスツリーが輝いている。

 すごい、ドイツ人の紳士淑女がたくさん!

 映画でしか見たことないような、本物のパーティー。リアルな社交界だと思うと、どうしても自分の場違い感が否めない。

 祐駕くんはホームパーティーみたいなものって言っていたけれど、全然違うから!

「Mr. Mochizuki!」

 不意にドイツ紳士に声を掛けられた祐駕くん。朗らかな笑顔で、ドイツ語で何かを話している。
 私はその隣、緊張で引きつった笑顔を浮かべることしかできない。すると突然、祐駕くんの私をエスコートする腕に力がこもった。

「大丈夫だ」

 耳元で囁かれ、ドキドキするけれど、同時に安心もする。祐駕くんは私の腰を抱いたまま、ボーイからシャンパンを受け取り私に手渡しながら、優しい笑顔を向けてくれた。
< 134 / 251 >

この作品をシェア

pagetop