クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 祐駕くんは色々な紳士に名前を呼ばれ、その度に私の腰を抱き安心させてくれる。

 ドイツ語なので何を話しているのか分からないけれど、どの人からも名前を呼ばれ、気さくに話していく祐駕くんは格好いい。

 さすが、外交官さんだなぁ。

 そんな風に思いながら、しばらくそんな挨拶を続ける祐駕くんの横に立っていた。
 すると、ひと際大きな声で「Yuuga!」と彼を呼ぶ声がした。

「彼がドイツの環境大臣だ」

 祐駕くんは私の耳元でそう囁いてから、ロマンスグレーの初老の男性の方へ歩みを向けた。
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