クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「映茉、今日がこちらのホスト、ドイツ環境大臣のフリートベルク氏だよ」

 祐駕くんは彼と何言かドイツ語で会話をしたのち、私に彼を紹介してくれた。

「ハジメマシテ、コンニチワ」

 片言の日本語に戸惑っていると、「彼は英語も堪能だから」と祐駕くんに耳元で言われる。
 私は英語で『お会いできてうれしいです』と告げ、ぺこりと頭を下げた。

『こちらこそ』

 英語で返され手を差し出される。握り返すと、フリートベルクさんは、私の手をぶんぶんと陽気に振った。

『君は日本の鉄道員だと祐駕に聞いたよ。私も日本の鉄道には感心しているんだ』
『ありがとうございます!』

 駅員として、時間通りに鉄道が安全に進むことを意識していると伝えると、彼は興味深そうに私の話を聞いてくれた。
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