クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 そしてもし、私と祐駕くんの結婚が、彼の〝努力〟で成り立っているのだとエミリアさんが気づいているなら。エミリアさんが、祐駕くんを好きなら――。

 パーティーで見せられた、勝ち誇ったような態度に突如アフレコがつく。

『あなたと祐駕はしょせん、偽りの関係。それにあなた、日本に帰るんでしょう? ドイツにいる私の方が、彼と会えるの。さて、どうやって彼を落とそうかしら』

 祐駕くんなら、きっと彼女に落ちたりしない。
 〝幸せな家庭〟のために、私のために、努力してくれる。

 でも、もし祐駕くんの気持ちが揺れてしまったら?
 祐駕くんが本当にエミリアさんを好きになってしまったら?

 ドイツという異国の地。一人ぼっちで落ち込む私。
 私にかけられた魔法は、不安に取って代わってしまった。
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