クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 ドイツから帰ってきても、私の胸から不安は消えなかった。

 レセプションの翌朝も、祐駕くんは前日と同じように、優しかった。
 朝食を共に食べ、荷造りを手伝ってくれて、仕事は午後開始にしたからと空港まで見送りに来てくれた。空港でのお土産選びも付き合ってくれた。

 これが彼の努力(演技)だと思うと、虚しくなる。それでも、演技でもいいから優しくしてほしいと思ってしまった。

 祐駕くんが、好きだから。
 愛されていると、思いたい。

 それでも、考えないようにと思えば思うほど、エミリアさんの顔が脳裏にちらついた。
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