クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「サンキュ」

 前のめりに告げると、旭飛はちょっとだけはにかんだ。

「映茉は、今日はもう上がりなのか?」
「うん。今日ね、旦那が帰ってくるんだ。だから、羽田までお迎えに行くの」
「ふうん。良かったな」

 旭飛はちょっとだけ不服そうに唇を尖らせた。

「映茉は幸せ、俺は出世!」

 けれどすぐにそう言って、ケラケラ笑った。

「旦那さんのとこ、早く行ってやれ〜」
「うん。お疲れさまでした!」

 旭飛に手を挙げ、駅長にぺこりと頭を下げ、駅員室を後にした。
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