クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「改めて、久しぶりだな咲多」
「お久しぶりです、持月くん」

 目の前で少しだけ目を細めた持月くん。その柔らかな表情に、胸がドキリと鳴った。

「あ、そうだ! 忘れないうちに!」

 高鳴った心臓をごまかすように、私は紙袋からファイルを取り出した。

「本日は急病人の対応並びに救助、大変ありがとうございました」

 言いながら、中の感謝状を両手で差し出した。持月くんはそれを受け取ると、じっと見つめた。

「へえ、すごいな」
「すごいのは持月くんだよ! 落ち着いてて、動きに無駄が無くて。おかげさまで急病人を助けられたんだから」
「なら、お前のおかげだ」
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