交際0日婚でクールな外交官の独占欲が露わになって――激愛にはもう抗えない
「うん」

 言うと同時に、祐駕くんの手に自分の手を絡めた。
 それをぎゅっと握りしめ、旭飛から目をそらさずに言う。

「ごめん、旭飛。でも私、祐駕くんの妻なんだ」
「いいのかよ、それで」

 一度祐駕くんの方を向く。優しい瞳と、目が合う。
 だから、私は旭飛に向き直り、一度こくりと頷いた。

 私は、祐駕くんの〝家族〟なんだ。

「これからは、ちゃんと気持ちも伝えるからな。映茉に、誤解を与える隙もないくらいに」

 見上げた祐駕くんは、やさしく口角を緩める。クールな祐駕くんの、優しい笑顔。私の、大好きな笑顔だ。

「帰ろうか、映茉」

 祐駕くんが、私の腕を優しく引く。

「おい」

 歩き出そうとした私たちを遮るように、旭飛が祐駕くんを睨んだ。

「次に映茉を泣かせたら、俺はお前を許さない」

 旭飛はそう言ったけれど、もう、大丈夫。
 ここに、愛があるって、ちゃんと分かったから。
< 177 / 251 >

この作品をシェア

pagetop