クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜

想いを伝えて(side 祐駕)

◆◆◆

 いろいろと互いに相違のあった気持ちを確かめ合い、俺は映茉と寄り添って家路を歩いた。
 駅から家までの道のりは、思っていたよりも短い。それでも、彼女が自分に寄り添って歩いてくれている事実に、この上ない幸せを感じていた。

 映茉は慣れた様子で、俺たちの〝新居〟の玄関の鍵を開けた。大きな荷物を抱えた俺に、「どうぞ」と笑って玄関を開けていてくれる彼女に、愛おしさが溢れる。

 今日からここで、彼女と暮らすんだ。

 それを一層意識してしまい、がちゃりと玄関の扉が閉まった瞬間、彼女を独占しているという高揚感に包まれた。

 ブーツを脱ぐのに手間取っている彼女の両腕を掴む。そのまま壁に掴んだ腕を縫い留めた。目の前に迫ったキョトンとした瞳、徐々に紅潮していく頬。可愛くて仕方がない。

 ずっとずっと、会いたかった人。俺の、愛しい妻。
 堪らずにそのおでこに優しいキスを落とした。

 すると彼女は恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに頬を緩める。堪らず、彼女の頬に、鼻に、耳たぶに、キスを落とした。
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