クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 ドイツに映茉を招いた時、つい王子様ぶるなんてことをしてしまったのも、彼女の平和を願う気持ちに胸が解けていったのも、パーティーの時に彼女に同僚が触れそうになりとっさに同僚を睨んでしまったのも。

 彼女の帰国の際に空港でキスをしてしまったのも、夜中まで起きて彼女と電話をしたのも、必死に共に住む物件を探したのも。

 らしくない行為をしてしまったのは全て、彼女を愛しいと思っているからだ。

 いつからだろう。
 こんなに愛しくて、仕方がないのは。

 映茉との出会いを振り返ると、時折嫉妬心に駆られるか、それでも俺の頬は垂れて仕方がない。

 日本に着いたら伝えたいと思う。
 映茉に、この気持ちを。

『ああ、変な祐駕』

 エミリアはそんな俺を見てクスクス笑っていたが、俺はそんなことが気にならないくらい、頭の中が映茉でいっぱいだった。

 早く、映茉に会いたい。
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