クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 しかし、空港についたら、待っていると言った彼女の姿はどこにもない。
 電話をかけても繋がらない。送ったメッセージも既読がつかない。

『どうしたのよ、祐駕』
『映茉がいない!』

 エミリアの言葉に被せ気味に答えた。

 まさか、ターミナルを間違えているのか? だったら、電話に出るはずだよな。メールに既読もつくはずだよな。

 気持ちが焦り、思考が働かない。必死に空港内を走り回り、映茉を探した。けれど、それらしき人物は一向に見当たらない。

『祐駕!』

 エミリアの出した大声に、はっと我に返る。

『やみくもに探しても仕方ないわ』
『――ああ、そうだな』

 ほう、と息を吐き出す。映茉探しに彼女を付き合わせてしまった後悔もあった。

『一旦帰ってみる。エミリアも、日本の旅を楽しんで』

 そう言って、エミリアとは別れた。
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