クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「愛している」

 彼女の熱を感じながら、昂ぶる感情に身を任せながら、何度も艶やかな声を漏らす映茉に伝えた。

「私も、愛してる」

 映茉の口から紡がれた言葉に、ドキリと胸を打たれた。涙が溢れそうになった。
 堪らずに彼女を強く抱きしめ、その熱を彼女の奥まで押し込んだ。

 言葉ひとつで、こんなにも満たされるものなんだな。

 俺の胸の中で、小さく身じろぎをしながら、果ててしまったらしい彼女に愛しさが募る。
 幸せというのは、こういうことなのかもしれない。

 同時に、彼女にこの想いを伝えられていなかった自分の愚かさに気付く。
 愛されていないと思いながらも、俺のためにドイツへ単身飛んできたり、引っ越しをしたりしてくれたんだよな。俺のために、色々考えて行動してくれたんだよな。
 それは、どれだけ辛かっただろう。

 だから、次からは。
 不安にさせるまえに、伝えよう。これから先、何度でも、ずっと。

「愛している」

 腕の中でそのまま寝息を立てはじめた彼女のおでこに、俺はそっとキスを落とした。
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