クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜

(side 映茉)

◇◇◇

 気怠い身体、けれど温かく満たされた心。
 優しく髪をなでる気配に閉じていた目を開くと、すぐ横に祐駕くんがいた。

 どうやら、私は果てたまま眠ってしまったらしい。頭の下にあるごつごつしたのは、祐駕くんの腕だ。

「悪い、起こしてしまったな」

 優しく目を細められ、それだけで胸がいっぱいになる。ううん、と首を軽く横に振りながら、幸せに頬が垂れてしまうのを感じた。

「映茉が愛していると言ってくれて、たまらなく嬉しくなった。ありがとう」
「祐駕くん……」

 そう言えば、熱に浮かされてそんなことを口走った気がする。
 改めて言われると恥ずかしい。胸元にあったシーツを顔まで被るけれど、祐駕くんはそれを捲って私の唇に触れるだけのキスを落とした。

 それで幸せに満たされる。けれど、この愛はいつからなのだろう。

「祐駕くんはいつから私のこと、好きだったの?」

 気になって口を開くと、祐駕くんは私の頭を撫でる手を止める。見上げた先で、祐駕くんはキョトンとして、それから何かを考え込むように、どこかに視線をやる。

 そんな祐駕くんをしばらく見ていると、不意に彼がフッと笑った。

「俺は、もしかしたら――」
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