クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
【4 新たな夢と、繋がる心】

迷いと揺れと離婚危機

「どう、かな」

 私はプランナーさんが試着ルームのカーテンを開けるのと同時に、祐駕くんを振り向いた。

 私がいま着ている純白のドレスは、祐駕くんが選んでくれたデザインのもの。裾の華やかに広がる、プリンセスラインのウェディングドレスだ。ふんわりとした、レースのオーガンシーが美しい。

 こんなに煌びやかなドレスに自分が身を包んでいるなんて、なんだか信じられない。

 恥ずかしくて俯いていたけれど、祐駕くんが何も言わないので顔を上げてみる。

 そこにいたのは、テールコートに身を包んだ祐駕くんだった。

 パーティーの時に着ていたタキシードも格好よかったけれど、格式高いこのスタイルも似合ってしまうのが彼らしい。ジャケットのスワローテイルが脚の長い彼にぴったりだと思う。

 かっこよくて見惚れていると、「うふふ」とプランナーさんの声が聞こえる。

「悪い、つい」
「ううん、私も」

 祐駕くんと同時にはっとして、互いに顔をそらせてしまった。
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