クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 今、私たちは結婚式の準備に勤しんでいる。
 というのも。

「え、式挙げるの?」

 同居を始めた翌日。朝食の席で突然祐駕くんに「結婚式はどうしようか」と言われて、思わずそう返してしまった。

「当たり前だろう。俺が帰国したら式を挙げると、映茉のお義母様の前でそう宣言したはずだ」

 祐駕くんはしごく当然のように答える。

 愛のない結婚だと思っていたから、あれは祐駕くんのでまかせだと思っていた。
 けれど、それを覚えていてくれただけでなく、こうやって当たり前のように実行してくれようとしている。

「そうだね! 結婚式かあ、楽しみ」
「挙げるのは俺たちだ」
「そうなんだけど!」

 なんとなく他人事のような気がしてしまったが、結婚したのは私たちだ。
 急に〝新婚〟なんだと実感がわいてきて、クスクス笑う祐駕くんに私の頬は垂れてしまった。
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