クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 それで、私たちは互いの仕事の合間を縫って、結婚式の準備を始めた。

 祐駕くんは帰国したてで仕事が忙しく、帰宅するのが遅い日も多い。それでも、休みの日を私に合わせ、結婚式の準備を一緒に進めてくれている。

 式場は祐駕くんにぴったりだからと横浜山手にある外交官の家をチョイスした。披露宴は山下公園の望める老舗ホテルだ。
 
 そこを押さえたら、次はドレス選びだと、同居を始めて一か月後の今日、こうして祐駕くんが選んでくれたドレスを着ているのだけれど。

 まさか、祐駕くんまで着替えているなんて思わなかった。

「これに、しようかな。せっかく、祐駕くんが選んでくれたから」
「ああ」

 言葉少ない反応だけれど、彼のことを分かった今はそれでも最大限に彼の愛情を感じる。私は、幸せ者だ。
< 194 / 251 >

この作品をシェア

pagetop