クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 やがて私服に着替え、ウェディングサロンを出た。幸せな気持ちで、山下公園を祐駕くんと二人で歩く。

 すると、不意に祐駕くんが顔を歪ませた。

「色々と早々に決めてしまったが、本当に良かったのか?」
 
 なんだ、そんなことか。
 私は愛しさを胸に、祐駕くんに笑みを向けた。

「いい。っていうか、嬉しいよ。私のため、なんでしょ?」

 祐駕くんが、結婚式を急いでくれている理由は、私から不安を取り去るためだ。
 入籍してからドイツと日本で離れ離れだった間、私を不安にさせてしまったから、という理由だった。

 そんな風に、こんなに想ってくれる祐駕くんと挙式できる。嬉しくないわけがない。

「ああ、そうだな」

 祐駕くんの私を愛でる目線は優しい。それだけで、どうしようもなく幸せに満たされる。
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