クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 その日は、料理の選定も兼ねて、披露宴予定のホテルでディナーを頂いた。ただおいしくいただくだけでなく、披露宴のメニュー選定も兼ねているのだと思うと背筋が伸びる。

「映茉は気に入ったメニューあった?」
「牛肉の赤ワイン煮込みがいいかな。口当たりもよくて、年配の方でも食べやすいと思うの」

 言えば、祐駕くんは「そうだな……」と、顎に手を置く。

「さっぱりしたメニューもあった方がいいかもしれないな」
「確かに! メインをこれにするなら――」

 会話をしながら、何でも真剣に、ひとつひとつ一緒に吟味してくれる祐駕くんに、愛しさが溢れ出す。

「デザートは――」
「この、チョコがけのバウムクーヘンがいい」
「ふふ、祐駕くんならそう言うと思った!」

 やがて食後。コーヒーを互いに嗜みながら、これからの確認をした。

「あとは、細かいところを詰めていくだけだな。来客リスト、早めに作ろう。それから――」

 何か忘れたことがないか確認するように、祐駕くんは空を見る。それから、私ににこりと微笑んだ。

「他にも要望あるなら、遠慮なく言ってくれ」
「うん」
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