クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 部屋にお義母さんを上げ、リビングのソファに座ってもらう。キッチンでお茶を淹れていると、まだダンボールの残るその部屋内を、お義母さんはキョロキョロと見回していた。

「まだあまり片付いていないのね」

 緊張しながらお茶を出すと、お義母さんはそう言った。

「すみません。仕事の合間に片づけをしているので、なかなかまとまった時間が取れなくて」
「お仕事、まだされてるのね」

 お義母さんがため息交じりにそう零して、私の身体は硬直した。斜め向かいに座ろうと思っていたが、座れなくなってしまった。

 お義母さん、私のこと良く思ってないよね。

 それはそうだ。挨拶の時も祐駕くんが押し通して、私たちは結婚してしまったのだから。

「本当に、お仕事辞める気はないのかしら?」

 お義母さんが私のことを睨むように見る。それで、私は何も言えなくなってしまった。
 お盆を握り締めて突っ立っていると、お義母さんは「座りなさいよ」と私を促す。

「失礼します」

 私がソファに座ると、お義母さんは再び口を開いた。
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