クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 離婚か、仕事を辞めるか。
 祐駕くんが帰ってくるまで、私はずっとそのことが頭の中をぐるぐると回っていた。

「ただいま」

 祐駕くんが帰ってくる。私は用意していた夕飯を温めながら、リビングに荷物を置く祐駕くんをぼうっと見ていた。

「今日、誰か来てたのか?」
「え?」
「これ。リビングに置いてあった」

 祐駕くんは湯呑みを二つ、キッチンに持ってきた。

 しまった、考えてばかりで下げるのすっかり忘れてた!

 慌てて祐駕くんから湯呑みを受け取り、お義母さんが来てたことを伝えた。

「何か言われたのか?」

 途端に祐駕くんは険しい顔をする。
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