クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「私が、本当にしたいこと……」

 言われた言葉を、口の中で繰り返す。
 私が今、本当にしたいこと。それは――

「幸せな家族になるんだろ! 俺の前で、そう宣言したろ!」

 そうだ、私は〝幸せな家族〟になりたいんだ。
 本物の、〝幸せな家族〟に。

「ありがとう、旭飛」

 私はそう告げると、急いで帰らなきゃと旭飛に背を向ける。

「幸せになれよ、絶対」

 背後で旭飛が呟いたその一言は、私には聞こえなかった。
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