クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「は?」

 待ってよ!
 なんで持月くんがそんなにキョトンとするの!?

「い、いやだってさ! 結婚って、愛し合う男女がするものでしょ!? お互いに惹かれ合って、恋に落ちて、お付き合いして、もっと一緒にいたいなって、この人と生涯添い遂げたいなって思ってするものでしょ!?」
「そういう奴らもいるだろうな」
「今の時代はそういう人ばっかりだと思うけど!?」

 持月くんは、羞恥で顔全体が真っ赤であろう私を前に、淡々と食事を続けながら言葉を返してくる。私は驚きと羞恥でテンパりながら、持月くんの突飛すぎるプロポーズの意図を探ろうとした。

 だって、意味わかんないじゃない!

「ほら、覚えてる? 同じクラスだった佐藤くんと実咲ちゃん。二人はずっとお付き合いしてて、それで結婚したじゃない」
「ああ、知っている。この間二人目が生まれたと、SNSで見た」
「結婚式は挙げなかったけども、二人はお付き合い始めて六年で結婚して、今も仲良しな四人家族。上の子はもう小学生で、いつも幸せそうで。……とにかく、結婚ってそういうふうにするものだと思う!」

 言い切ると、持月くんは「なるほど」とナイフを置き考え込んでしまった。
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