クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「映茉……」

 祐駕くんははっとしたように目を見開く。だからちょっと恥ずかしくなって、視線をそらした。
 けれど、想いは溢れる。

「世界平和って、神様に祈るくらいしかできなかった。けど、祐駕くんなら実現できるって私は思ってる。だから私も、そのお手伝いができるなら、この世界に、この時代に、この平和な国に生まれた者としての使命を果たせるかなって」

 あの日、ドイツで聞いた祐駕くんの夢。
 世界平和を叶えたいという、大きな夢を抱えた祐駕くんを支えられるなら、私は彼のそばにいたい。
 それが、私の〝覚悟〟だ。

 言いながらやっぱり恥ずかしくて、でも祐駕くんの方を見ていたくて。にぃっと笑って見せれば、祐駕くんは困ったように、でも嬉しそうに――。

「ありがとうな」

 まるで私を愛でるみたいに、とびっきりの優しい笑みをくれた。
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