クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 新型特急車両とはこの春――四月から運行を開始する、〝水素電車〟のこと。
 その車両のお披露目に、世界各国から大臣クラスの方々がいらっしゃるらしい。

 その出発合図を、任せてもらえるなんて。

「そんな責任重大な任務、私がいいんですか!?」
「もちろん、記念っていう意味だけじゃない。君の運行管理も勤務状況も素晴らしいと評価している。だからこそ、君に任せたいんだ。どうかな?」

 なんだかんだで、誇りを持って取り組んできた駅員の仕事。この仕事が、駅員としての私の集大成になるかもしれない。

「ぜひ、やらせてください!」

 私は、笑顔で駅長へ返していた。
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