クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「でも、本当に奇跡みたい。今日のイベントの運転士が、旭飛なんて」
「俺も、運命に遊ばれてる感じする」

 旭飛が唇を尖らせる。

「だってこれ、映茉の最終業務なんだろ? こんな大舞台で、好きなヤツの合図で運転って」

 旭飛はわざとらしくため息をこぼした。

 旭飛の言う通り、今日の業務が終わったら私は退職する。
 退職の手続きがあるので、ホーム業務は旭飛の運転する特急――世界の環境大臣たちが乗った特急――が出発するまでだ。

「そんな顔すんなよ。映茉は旦那とラブラブだって、分かってっから」

 旭飛の『好きなヤツ』の言葉に反応してしまったのは間違いないが、私はどんな顔をしていたのだろう。
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