クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 今日の朝明台駅は、お祭りとばかりにがやがやしている。おかげで私も、気持ちが焦っていた。

 通常の業務に加えて、世界各国の環境大臣が訪れるための準備をする。

 テロ対策のために、まずはゴミ箱の撤去やコインロッカーの使用禁止などの対応に追われた。 

 それが終わると、今度はホームに記念式典用の台を設置した。
 六番線まである朝明台駅の、普段は使われていない真ん中の三番四番線ホーム。報道陣も朝明台駅にやってくるので、そこを貸し切りにしている。

 昼過ぎになると、駅構内には警察官や警備員が増えていた。
 新型特急の出発は、このあと午後三時。大臣たちは午後一で車両基地にて新型特急の見学をした後、車で二時半頃にこの朝明台駅に移動してきて、記念式典が行われる予定だ。

 そわそわしながら、時計を確認する。

 もうすぐ、この駅に祐駕くんがやってくる。……エミリアさんも。

 エミリアさんは、私に会いたいらしい。
 彼女は、私に何を言うのだろう。
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