クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 午後二時過ぎになると、駅のホームには報道陣が詰めかけていた。

 安全のため、三番四番線ホームには報道陣と関係者以外は入れないようになっている。それでも詰めかけた報道陣の数に、この新型車両がいかに世間に注目されているのかを思い知った。

「持月さん、そろそろだね」

 駅長に言われ、「はい」といつもの位置に立つ。ホームの端から端まで映るモニターで安全確認をしていると、朝明駅前の線路のセンサーが反応しアナウンスが流れた。

「間もなく、三番線に電車が参ります。〜」

 もうすぐ、新型車両がやってくる。私は車両が安全に入線できるように、集中した。

 モニターに、ホームの端を歩いているカメラマンが映り、「電車が参ります。黄色の点字ブロックの内側までお下がりくさい」とアナウンス。慌てたようにホーム内側に戻るメディアを見届け、よし、と指差し確認をする。

 すると直後に、水色のボディが格好いい、新型特急車両が入線してきた。
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