クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 やがて、GOサインが出る。私は祐駕くんに目くばせをして、大臣たちの前で口を開いた。

『お待たせして申し訳ございません。皆様を安全にお迎えする準備が整いましたので、ご案内いたします』

 ゆっくりと駅舎を上る。警察官たちに囲まれ、物々しい雰囲気が漂う大臣たち一行と私。
 そんな中でも、フリートベルクさんは楽しそうに私の横を歩いていた。

『祐駕と息ぴったり。さすが、おしどり夫婦だねえ』

 そんなことを言われて、嬉しくないわけがない。
 思わず頬がにやけてしまうけれど、今は業務中だ。気を引き締め、けれどにこやかに階段を上った。
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