クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 けれど、私はカフェに入って立ちすくむ。
 祐駕くんと同じ席に、エミリアさんが座っていたのだ。
 祐駕くんが私に気付き、「映茉」と手を挙げる。

 大丈夫だ、エミリアさんは祐駕くんとはそういう関係じゃない。

 そう思うけれど、私は引きつった笑みを浮かべることしかできない。
 私は逃げ出したい衝動を抑え、二人の席へと近づいた。

 ドクドクとうるさい心臓を押さえつけるように胸に手を当て、二人の元に座る。すると、エミリアさんが突然私の方に身を乗り出してきた。

「エマさん! あなた、祐駕にちゃんと愛を伝えてもらってる?」
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