クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 思わず背をのけぞり、目を見開く。

 祐駕くんはエミリアさんの肩を文字通り押し込めて、椅子に座り直させていた。

「いきなりそんなことを聞いたら、映茉が驚くだろう」
「祐駕がはぐらかすからじゃない!」

 エミリアさんは祐駕くんを睨む。

「映茉さんに言えたら、私にも言ってくれるって約束したのに!」
「だから、できないと言っているだろう」

 怒るエミリアさん、呆れる祐駕くん。一体何が起こっているのだろう。

「あの、えっと――」

 口を挟むと、二人は突然こちらをはっと振り向く。それから、祐駕くんは「すまない」と一言。

「祐駕ったら酷いのよ。私、祐駕に『アイシテル』って言って欲しいって頼んだの。なのに、全然言ってくれないの」
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