クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「え……」

 やっぱり、エミリアさんは祐駕くんを好きなの?

 突然胸を襲った不安と、それを堂々とこちらに宣言するエミリアさんの態度に、心臓の音がより大きく、早くなった。

 すると、そんな私の目の前で、祐駕くんは大きすぎるため息をこぼした。

「その言い方では語弊があるだろう、エミリア。『言って欲しい』ではなくて、『声を当てて欲しい』だ」
「あ、そう! それ!」

 エミリアさんは無邪気に笑う。
 それでますます訳が分からなくて、私は首を傾げた。

「日本語、やっぱり難しいわね」

 言いながら、エミリアさんはスマホを取り出した。
 見せられた画面に、映っていたのは――

「これ、二年くらい前に日本で流行ってたアニメのキャラクターですか?」

 けれど、どう見ても、それは三次元のイケメンだった。
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